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津軽三味線偉人列伝・その8〜戦場帰りの三味線弾き その2


今回は前回のブログの続きです。

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私が初めて五十嵐清栄を知ったのは、キングレコードより発売されたカセットテープ5巻組『津軽三味線大全』(1986年発売)に収録されていた「津軽よされ節」(唄・浅利みきの伴奏)でした。それは印象深く魅力的な音色でしたが、付属のライナーに紹介されている1枚の顔写真でしか彼のことを知ることができませんでした。

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それから間も無く、時代も変わり、ネットオークションで五十嵐が三味線を弾くSPレコードを数枚手に入れることができました。今まで1曲すらEPレコードやLPレコード、CD化もされずにSP盤でしか聴けなかった五十嵐の三味線をさらに聴くことができました!
ネットオークション恐るべし。
心地よいリズムに色気のある音。
飾らないシンプルなフレーズが素敵です。

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(ビクターレコード・津軽じょんがら節)

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(津軽甚句です!唄い手3名の大合唱で、三味線は山田千里と合奏!)

そして時は流れ、2008年3月20日、ATV(青森テレビ)にて放送された番組『りんごの花咲く頃〜津軽三味線・五十嵐清栄伝』にて、津軽三味線幻の四天王の1人として五十嵐清栄(いがらしきよえい)は紹介されました。

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今まで、彼についての文献などは殆ど無く、この番組によって彼の人生と三味線が世に知られることとなったのでは無いでしょうか(たぶん青森県近辺のみ)。
取材の聞き取りや、戦時中の青森の様子などの時代背景を照合し、調べるのには大変な取材だったと思います。幾多の戦場を生還し、戦後僅かな間に活躍して若くして亡くなった彼の人生を知ることができました。

五十嵐のレコードと、テレビ番組については、私がかつて連載をさせていただいていた『邦楽ジャーナル』2009年2月号「ジョッパリマンを探せ!」にて取り上げ、掲載をさせていただきました。

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そして2010年、青森県五所川原市金木町にある津軽三味線会館にて、「昭和の群像〜平田政市とその時代」と題した特別展がひらかれ、五十嵐の使用していた三味線などが展示されました。

現在は確認できるところ、五十嵐の三味線のみの独奏は無く、主に津軽民謡の伴奏です。
活躍したのは昭和10年代〜20年代ですのでSP音源しかありません。
恐らくレコードリリースは10枚にも満たないのでしょう。

当時の唄会や民謡大会での五十嵐の三味線の音色を聴いた人々の記憶は、時間と共に消えて行きますが、残されたレコードと、四天王の伝説はきっと未来に鳴り響いて行くことでしょう。
すでに津軽三味線の名人と認められ、有名になった奏者たちは、未来永劫に名前は残って行くと思いますが、今まであまり取り上げられることの無かった1人の津軽三味線名人を、ここに取り上げさせていただきました。

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(津軽三下り 唄・浅利みき)

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